独りぼっちの男達

涙と笑いがそこにある

百科事典の買取先がみつからへんかった話

ある日のことや。ぼくんちの居間でひとしきりの大掃除をしてたんやけど、そこで出てきたんが、昔々に買った百科事典のセットやった。もう古いし、インターネットがある今となっては、全く使わへんくなってもうてん。ぼくも、「これ、どうにかせなあかんな」と思ってたんや。

 

ほんで、思い立ったが吉日やし、早速買取り先を探し始めたわけや。最初は古本屋に電話してみたんやけど、「そんなん、今時誰も買わへんわ」とあっさり断られたんや。なんでやねん、まだまだ綺麗なのになあと思いつつ、他にもいろんなところに電話したり、ネットで調べたりしてみたんやけど、結果はみんな同じ。「要らんわ」とか、「持ってても仕方ないわ」とか、そんな反応ばっかり。

 

世の中、世知辛いなあ。

 

もうちょっとで、百科事典をただの紙くずとして捨てるところやったわ。でも、それはあかんと思ってな。なんとか使い道があるんちゃうかと、諦めずにさらに探し続けたんや。

 

そのとき、ふとしたことから、近所の学校で図書館の充実を目指してるってことを知ったんや。ぼくは思わず、もしかしたら…と思って、学校に連絡を取ってみたんや。すると、「そんなに綺麗な百科事典なら、喜んで受け取りますよ」とのこと。まさかの展開やったわ。

 

結局、その百科事典は学校の図書館に寄贈されて、生徒たちが使うことになったんや。買取り先はみつからんかったけど、結果としてはこれでええんちゃうかと思ってる。ぼくの古い百科事典が、これからも新しい世代の知識欲を刺激することになると思うと、なんかほっこりするわ。

 

結局、大事なんは、「物」そのものよりも、その「使い道」やねんなって、改めて思ったわ。いいことすると気分がええで、ホンマ。