独りぼっちの男達

涙と笑いがそこにある

エロの断捨離という苦行

妻とは私の定年退職と同時に離婚し、現在一人暮らしです。

特に寂しくはありません。

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エロDVDとエロ本を買取に出そうか?と思いまして。

 

大阪の街に土砂降りの大雨の降るある日、私は30年以上コレクションしていたエロDVDとエロ本を処分するため、有名な某古本屋へ向かうことにしました。

かかりつけの医者からそろそろ年齢も年齢なので刺激の強いものは控えるようにと言われていたため泣く泣くの決断です。

 

まあ人間は年には勝てませんから仕方ありません。 

 

それと近所に出来たその古本屋はずいぶん大々的に宣伝やっとるんやから儲かっとるんやろと思いましてね。

 

それに買取に出した方が捨てるよりはマシかな?て思うて。

 

そんでもって大事にコレクションしていたエロ本をコンビニで買うてきた安っぽいビニールヒモで亀甲縛りにし、エロDVDを段ボールにつめ込んでガムテで拘束し準備万全。

雨の中、車が無いので亀甲縛りしたエロ本5束、エロDVDの段ボール3つを荷車に積み込んで上から防水ビニールをかけ、トボトボ荷車を押して小一時間ほど歩きましたでしょうか。

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ようやく古書店へ到着して、なにやら買取カウンターとか言うところへ持っていきました。

若い黒メガネのひょろ店員が出て来て「いらっしゃいませー。お売りいただくお客様ですか?」と聞くので、そんなんこの雨の中ここ来てるんやから当たり前やんけどあほ、と思うたのですが、大人しく、はあまあそうですて答えました。

 

「お査定に1時間ほど頂きます。」ってひょろが言うので、はあそうでっかと伝えしょうがなく漫画のコーナーでパラパラと立ち読みしながら呼ばれるのを待ちました。

 

1時間と言いながら1時間と45分後、●●番でお待ちのお客様~と呼ばれました。

 

ずいぶん遅いやんけぼげ!と少しイラっとしながらカウンターへ行くと店員のひょろは遅れて申し訳なさそうな素振りも見せず、「ああ●●番のお客様、今回このお値段での査定になります。」とか言ってペラっとした紙をぺらぺらさせながら出してきました。

 

レシートみたいなぺらぺらを見ると185円とか書いてあって、何が185円なんかさっぱり分からなかったのですが、どうも買取額が全部で185円ということらしいのです。

 

 

はあ?エロ本5束、エロDVDの段ボール3つ分やで??

 

 

エロDVDとエロ本が買い叩かれる理由

 

私は一瞬あはーんと声を発し悶絶、ヘナヘナと腰が砕けそうになりました。

何かの間違いやないの?と店員のひょろに聞きました。団鬼六のシリーズもあるのにおかしいやん?て。

 

ひょろは申し訳なさそうな素振りもなくパソコンの画面を見ながら、「いえこちらのお値段で間違いありませんね、うーんほとんどが古いもんですしDVDはケースとかディスクに傷もあるのでね、あとこういう類の成人向けの古雑誌は買取出来ないんです。そんでこの値段になっちゃうんですよ。買取できなかった商品はこちらでお引き取りもできますけどどうされますか?持って帰りますか?」と理路整然と極めて当然のように私に聞いてきたのです。

 

なんでこないな雨の中たった185円で、私が妻に内緒で小遣いを工面して万札をはたいて長年コレクションしてきた団鬼六のシリーズや緊☆大全集をおまえに売らんととならんの?185円で。ワシの人生みたいなもんやぞ?185円てコンビニで買うたヒモ代にもならんやろ。それからなんでおのれ、ドグマや川上ゆうのDVDがぜんぶ査定0円やねん!ええ加減にせえよ、このトロスカマグロマンが!!

 

ひょろに対してそんな言葉がのど元まで来ていたのですが、ひょろのほうはわし忙しいんやからおっさんはよ185円で決めろや、と言わんばかりの顔で私を見ています。

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私も無言、ひょろも無言のまま数分間時計の針だけが動きました。 

 

これ以上のひょろとの交渉は無駄やと思いなおし、私は意を決して、じゃあもうええですわ、やめますと言うてDVDの段ボールとエロ本を荷車に戻しました。

 

店員のひょろは、はあ?せっかく査定してやったのに?ちっ、なんやこのおっさんは、時間無駄にしたわ、時は金なり言う言葉知らんのかい、とでも言いたそうな悔しそうな顔をしとりました。

 

この時だけは嬉しかったです。この嬉しさは岡田・掛布・バースの三連続ホームラン級でした。

 

 

買取交渉決裂と日本型資本主義システムの洗礼

 

店から出ると外はまだ土砂降りでした。

帰り道はひどい後悔が私を襲いました。なんやあの店は、行くんやなかったわ、と。

 

しかし、あっ!あああ・・・

 

いや、なるほど。

 

宣伝で釣り(情弱ビジネス)

弱い者に勝手に働かせ(雨の中運搬)

都合のいい時まで延々と待たせ(1時間と言いながら1時間と45分!)

最後の最後に搾取する(185円)

 

これが日本という国家の資本主義そのものかも知れない。 

 

土砂降りの空の下で私はエロDVDとエロ本を乗せた荷車を押しながらようやく気が付いたのです。

 

なんや、今日という日は、現代の日本の資本主義(キャピタリズム)の縮図、すなわちミニチュア・コピーだったんや・・・ 

 

ワシが情弱で釣られただけだったんやな、と。

 

 

ワシを救った一つのファインプレー 

 

しかし、ワシのほうにも好プレーがありました。

買取を拒否したことで免許証を提示しなかったため個人情報は見られずに済んだことです。これはまあ良かったと思っとります。

 

たった185円の買取で荷造り、運搬を強いられて、その上個人情報まで晒したり余計なメールマガジン送られるのは御免ですやん。

 

ダメージは受けましたが勉強にもなりましたし、失点も最小限に抑えました。

まだまだワシの判断力もキレがありますな。

 

いろいろありましたが今回の教訓はエロDVDやらエロ本の買取に期待しても無駄ってことですな。

 

 

終わりに

 

腹が立ってアパートに戻ってから今日の経緯を事細かに親友にLINEすると、しばらく経ってたった一言、「せやから言うたろう。」との返信がありました。 

過去一度もこんな話をした事はなかったのですがね。

 

年はとりたくないものです。

 

それにしても亀甲縛りしたエロ本と段ボールのエロDVDがまた私のアパートへ戻ってきてしまいました。

 

お前たち、お帰り。

 

しかしこれどないしよかな、本マグロ・・・

あああ・・・